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フィリピン人は暖かくて家族思い?それって本当にいいこと?

少し皮肉に聞こえるかもしれませんが、「フィリピン人になるだけで大変だな」とふと感じる瞬間があります。

最初は誰にも話すつもりはありませんでしたが、SNSで出稼ぎ中の同世代が、自分の家族に対する不満を涙ながらに語る動画を見かけるようになりました。メディアでも取り上げられ、「親孝行」という概念に苦しむ彼らの姿が映し出されていました。

フィリピン人の多くはキリスト教徒で、「親を尊敬すべき」という教えが根付いています。最近では「フィリピンのママは怖い」というイメージがよく耳に入るかもしれませんが、これは決して誇張ではありません。「親の言うことは絶対」という考えが子供の成長にも影響しているのは事実です。

ただ、聖書には「父親たち、子供を怒らせてはなりません」という教えもあります。それでも、このバランスがうまく保たれていないと感じることが多いのが現状です。

もちろん、宗教の話をするつもりはありません(笑)。

日本に来て間もない頃、先輩から聞いた話や自分の経験を通して、出稼ぎに出るフィリピン人が抱える恐怖やプレッシャーを知るようになりました。

例えば、技能実習生として来たフィリピン人は、片言の日本語で慣れない環境の中、厳しい労働をしています。しかし、家に帰ってフィリピンにいる家族に連絡すると「仕事大丈夫?」と心配されるよりも、「今月のお金がそろそろなくなるけど、次の送金はいつ?」や「借金を払わないと家が取られるって」など、お金の話ばかりされるのが現実です。

こうしたプレッシャーは、実際にフィリピン人労働者が抱える深い悩みであり、決して表に出しづらいものです。ある技能実習生はメンタルが限界に達し、自分の身すらも手入れできない状態で帰国することになってしまいました。

明るく元気なフィリピン人の外見からは想像できないかもしれませんが、これは多くのフィリピン人が抱える「言いにくくて言えない深い悩み」なのです。

国ごとに社会問題は異なり、個人個人が抱える問題も多種多様です。それでも「フィリピン人はみんな同じ」といった偏見や早まった一般化は、相手や友人、さらには従業員の感情を無効化する危険があります。

フィリピン人の多くにとって、理想の家族像や期待される役割を大切にしながらも、現実には課題やプレッシャーが山積みです。

それでも、問題があっても笑顔でいることを得意とするフィリピン人が、日本にも出稼ぎにやってきています。

もちろん、家族や親の期待に応え続けるのは大変ですが、その中で前向きに生きていこうとするフィリピン人の姿勢は、やはり尊敬に値します。

フィリピン人が抱える悩みや苦しみは、ただの「あるある話」として片付けることができない、複雑で深い問題なのです。